アルチンボルド展に行ってきたので感想!~才能と境遇に恵まれた奇想の画家

植物や動物を寄せ集めて、だまし絵的に描く肖像画が有名なアルチンボルド。
その思考が一体どうなってるのか、創作の背景、などが伝わってくる展覧会でした。自然科学、知的好奇心、精密な素描の集大成、あふれかえる才能と発想。楽しかった!!

見てきた感想と、当日の混雑状況・持っていくと良い物を、ザクザク書いていきます。
ネタバレが嫌な方は、目次から参考情報だけどうぞ。
アルチンボルド展看板

9/24(日)で閉幕ですが、今後もアルチンボルド作品を含む展覧会があります! (9/20追記)

「ルドルフ2世の驚異の世界」展~アルチンボルドにハマった人もぜひ!【会期終了】
16世紀ヨーロッパで活躍した奇想の宮廷画家・アルチンボルドは、3代にわたって神聖ローマ皇帝に仕えましたが。 その3代目、ルドルフ2世につい・・・
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感想です

※以下、画像はWikipediaの各ページからの引用です。
※本文は、展覧会の出品作品リストや、解説パネル・オーディオガイドの記憶を元に書いています。

「水」が意外とグロくなかった!

近くで見て、個人的に一番見応えがあったのは、「四大元素」のひとつ「水」でした。「四季」の「冬」と対になる絵です。
水生の生き物が、大きさはバラバラに寄せ集められて、人の横顔を形作っています。
水
ファイル:Arcimboldowater.jpg

どの絵も細かいけれど、この「水」が、構成生物の描写が一番精細に思いました。
魚とかタコとか海老とか、スーパーで食材として並んでるのを見ているからか、意外に見分けられたのも楽しかったです。カエルやカニのつぶらな瞳が、近くで見ると愛嬌があって、可愛く見えたりもするんです。
(逆に「春」の花なんかは、あまり分かりませんでした。タンポポやヨモギくらいは何とか・・・)

以前にだまし絵展か何かで見た時には、「果物とかでできたやつに比べたら、なんか暗くてグロくていまいち」くらいにしか思っていませんでしたが、見え方が変わりました。これはすごい。

うさぎを目立つ位置に発見

「四大元素」の「大地」、鼻の部分がうさぎのお尻です。うさぎ、キリッと良い顔して、人物の視線と同じ方向を向いてます。画像だと分かりにくいですが・・・
大地
ファイル:Arcimboldo Earth.jpg

うさぎに限らず、自分の好きな動植物を、絵の中に探してみるのも面白そうです。

生き物の「目」が良い

構成生物の「目」をしっかり描いてある、と、一緒に行った旦那の感想です。頭が分かるように描いてあるのが特徴的だと。

確かに、「大気」の鳥たちや「水」の魚など、どれも顔がはっきり描いてあります。とくに四大元素「大地」の動物たちは、生き生きした表情に見えます。
顔・目をはっきり描くことで、種を描き分けるのが、アルチンボルドのこだわりだったのかもしれません。

贈る相手や表現したい相手を示すモチーフが描き込まれている

皇帝を讃える絵には、冠や紋章、皇帝の軍隊などを示すものが描き込まれています。
皇帝以外の貴族などへ贈られる絵なら、その贈り先の紋章が入っていたりします。
一方、人を小ばかにする絵では、食欲を暗示する食材で、顔を構成してたりします。

巧みに紛れ込ませてあったり、これ見よがしに目立つ描き方をしていたり、作品によって色々です。本当に上手いです。
当時の、珍しいものに目がない人たち、大喜びだったと思います。

アルチンボルドの生きた時代と、先人からの影響

アルチンボルドが生きたのは、ルネサンス中期~後期で、大航海時代でもあります。
芸術があふれ、珍しいものもあふれていた時代です。世界各地の珍しいものを集めて、博物館の原形が出来たのもこの頃だそうで、アルチンボルドの仕えた皇帝が作ったとのことです。

また、レオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなって、すぐ後の時代でもあります。(ダ・ヴィンチ:1452-1519、アルチンボルド:1527-1593)
アルチンボルドのお父さんやその友人が、まずレオナルド派で、そこから本人も影響を受けたとのこと。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、精密な素描(デッサン)を描く人で、しかもそれを積極的に公開していたそうです。(当時、素描を公開するのは珍しかったみたいです)
今回の展覧会には、ダ・ヴィンチの素描も何点か来ています。

それから同時代の自然描写の大家、ヤーコポ・リゴッツィの、魚を描いた作品が複数来ていて、写真みたいに精密でした。

※ヤコポ・リゴッツィについては、こちらのページで分かりやすく紹介されています。
パラティーナ特別展2014 ヤコポ・リゴッツィ 宇宙的すぎる画家 – フィレンツェガイド日記
Wikipediaには、この画家の日本語ページはないみたいです

他にも、当時の自然界のものや、海の向こうから来た珍しいものを、忠実に表現した作品がいくつもありました。立体作品もあります。
 

展示を見ていると、アルチンボルドはこんな時代に生きたのか、と良く分かります。
同時に、ダ・ヴィンチから学んだ精密な素描と、自然の万物への尽きない好奇心が、寄せ絵の数々に活きているのが想像できます。

また、お父さんがステンドグラスの下絵も描く人だったそうで、それを手伝いながら、色彩を寄せ集める感覚を身に付けた・・・という話もあります。これもすごく納得しました。

幸せな芸術家人生

アルチンボルドはミラノで生まれ、父親(画家)を手伝いながら芸術を学び、30代半ばでウィーンのハプスブルク家に招かれて宮廷画家となりました。

ハプスブルク家から出た神聖ローマ皇帝に、3代にわたって仕え、宮中の行事をプロデュースしたり、皇族の肖像画を描いたりと活躍したそうです。(これに関連する作品も展示がありました)
その傍らで、皇帝の動物園・植物園で好きなようにデッサンすることを許されていて、とても皇帝からの信頼が厚かったようです。

晩年(60代)には故郷ミラノへ戻り、宮中に居た時より自由に絵を描いたり、後進のための仕事も行ったそうです。
 

理解ある皇帝に恵まれ、珍しいものに囲まれて好きなように素描できて、晩年は故郷で好きなものを描いたり、後進のための仕事もきっちり行って、非常に幸せな芸術家人生を送った人のように感じました。敬愛できる皇帝に仕えられたのも、幸せなことです。

アルチンボルドが活躍した時期は、皇帝の努力のおかげで、大きな戦争もない時期だったようです。
だからこそ知的興味に邁進できるわけで、平和だったんだな、としみじみ感じました。
 

宮廷画家としてのアルチンボルドについては、別記事でもう少し書きました↓

【宮廷画家の仕事・立場】アルチンボルド展でナルサスを連想して吹いた件【アルスラーン戦記】
※これは、アルチンボルド展の感想から脱線していく記事です。 展覧会のキャッチコピーに「奇想の宮廷画家」とある通り、アルチンボルドは、1・・・

子供も安心して見て回れそうか? という話

宗教画で特にありがちな、人が血を流してるとか死んでるとか十字架にかけられてるといった、見ていて憂鬱になるたぐいの表現が、アルチンボルド展ではほぼなかったように思います。これは特徴的な気がしました。
卑猥で困る作品は2点ほどありましたが、アルチンボルド作ではないし、小部屋に隔離するように置かれていました。
あと、びっくり人間を面白がるような作品があって(しかもでかい)、これは強く不快を感じる方もいるかもしれません。

という感じですが、全体的には、かなり楽しく見られる展覧会という感想です。

音声ガイド、おすすめです

アルチンボルドを俳優の竹中直人さん、ナレーターを小川もこさんが担当されています。

竹中さんがアルチンボルドになりきるということで、イロモノ感がしたらどうしようと思ってましたが、けっこう平気でした。むしろ、すごくいい声で、耳が幸せでした。
敬称の使い方が細やかで、そういう言葉の端々から皇帝への敬愛・信頼が伝わってきて、なんか安心します。

内容は、作品紹介のプレートには書いてない裏話が、色々出てきます。また、「この絵はここに注目してみましょう」などと案内してくれるので、たくさん描き込んであるけどどう見れば? と目が滑ってしまうときに助けになります。

小学生くらいの女の子が聞いているのも見かけました。
 

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これから行く方へ、参考情報

私が行った日は7/1(土)でした。
6/20に開会して、直後の混雑は落ち着いたかな? というタイミングの休日です。

この日の東京の最高気温は25℃、曇りと雨を行ったりきたり、昼間の湿度は90%前後。(天気.jpの過去天気より)
つまり、じめーっとした、蒸し暑いような少し冷えるような、憂鬱~な天気の日でした。
こんな天気の日は、比較的すいているかも。

6/24の公式ツイートより
【混雑予測】
どの展覧会もそうですが。
会期終盤>会期序盤
休日>平日
日中>朝方・夕方>夜間
晴れ>雨
入口付近>出口付近
内覧会のプレス記事が出始め、NHKの大きな番組が2本(詳細後日)放送されるのが7月上旬。
入場料は変わりません!ぜひその前に!

他の美術館への巡回はしないそうなので、行くなら今のうちです。会期は9/24まで。

公式サイト → アルチンボルド展閉鎖されました

混み具合・所要時間

9:40頃に会場に入ったので、ほぼ朝イチでした。(9:30開場)

会場内は、既に多少混雑していました。充分ゆったり見られるレベルではありましたが。
ただ、入り口のアルチンボルドメーカーは、軽く列が出来ていたので、並ばず通過しました。

アルチンボルドメーカー:
自分たちの顔を撮影すると、コンピュータが、野菜や果物でその顔を表現してくれるそうです。顔認識の技術を応用しているそう。
キメ顔で前を向くと、認識されやすくなり、うまく出来る可能性が高いそうです。(公式ツイッターより)

10:30頃、「四大元素」と「四季」が並んでいるメインの部屋を見ているときに、だんだん混んできたように感じました。
最初は、見回せば空いている絵がありましたが、そのうちどの絵にも人だかりができている状態になってました。

オーディオガイドを聞きつつ、全部をゆっくり見て回って、私は1時間と45分くらいかかりました。
 

この日は、14時から講演会「アルチンボルドと北イタリアの美術」が開催で、整理券を12時から配ると案内していました。
この整理券配布の列には、11:30頃の時点で、30~40人くらい並んでいました。(人数は目分量)
私たちが帰る間際、11:45頃には、さらに2倍か2.5倍くらい列が伸びていました。
展覧会自体の入場待ちは、発生していなかったようです。

持っていくと良い物

・羽織るもの
作品保護のため、会場内は気温も湿度も下げてあって寒いです! 私は、七分袖のシャツに、風を通しにくい春物のストールを巻いたら快適でした。

・オペラグラスか何か
細かいところまで近寄って見たい絵が満載です。片目だけのミニ望遠鏡みたいなのを持ってる方がいて、賢いなあと思いました。人の肩越しでも、満足いくまで絵を見ることができます。夢中になって周囲の迷惑にならないよう気を付けて。

・オーディオガイド代
オーディオガイドは、時間があればぜひ借りると良いです! ひとつ520円です。おつりは出ますが、あんまり大きいお札は、事前に崩しておくとスマートです。

・折りたたみ傘を入れるビニール手提げ(必要時)
長傘は、入り口外の傘立てに預けますが、折りたたみ傘はビニール袋に入れて持ち込むようでした。色々な施設で見るような、長傘サイズの薄いビニール袋が出してあり、これを使うことができます。でも、丈夫なビニール袋(レジ袋でも)を持参すると、自分の荷物も作品も守れて素敵だと思います。

8/3追記:公式Twitterより混雑情報

チケット売り場には列ができますが、入場自体は並ばないで済んでいるそうです。(7/28現在)
オンラインチケットがオススメだそうです!

公式オンラインチケット(手数料無料) → アルチンボルド展-チケット閉鎖されました


 

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