先日、フェルメール展2018に行ってきました。東京(上野)会場です。
この記事では、
・事前に知っておきたい知識
・会場の様子、混雑具合
・フェルメール作品をゆっくり見るには
・上野にあるもう一枚のフェルメール? (追記)
・・・といった「ネタバレなし」系の話題を書きます。
ネタバレありの感想はこちら
※展示替えについては、▲この記事の「目次」が分かりやすいです
事前に知っておこう:17世紀オランダの背景を3行で
自分は知ってて良かった! と思ったので、ざっくり書きます。
この展覧会、フェルメールだとばかり思って行くと、たぶん「???」ってなります。
「フェルメールと影響を与え合った作品たち」というよりは、「フェルメールが生きた時代のオランダ絵画について紹介」のように、私は感じました。
というわけで、展覧会に来ているのはどれも、フェルメールの生きた時代・17世紀オランダの絵画です。
この時代この場所について、ざっくり3行でまとめると、以下のとおりです。
- 民主化が起きた → 王候貴族の肖像画とかの需要が激減
- キリスト教の宗派がプロテスタントに(偶像崇拝禁止) → 宗教画の需要が激減
- ⇒その他民衆に向けて、市場原理の中で絵を描かないと食っていけない
今回のフェルメール展は、このようながらりと変わった社会の中で、画家たちが制作の方向を模索した記録でもあるのです。
私にはそう見えました。
会場の様子(上野会場)
入場前
当日券の状況は、現地では、チケット売り場の脇に掲示されています。
公式Twitterでも当日朝に出ます。
公式サイトにも埋め込まれています。
私が行った、展覧会初日は、午後から空きがあるようでした。(13:00~14:30の枠以降)
長い傘と大きな荷物は、入場前に預けます。
傘預けは無料、荷物のコインロッカーは100円返却式です。
私は、100円玉を持ってないというポカをしましたが、周囲のスタッフさんに聞いたら両替してくださいました。どうもすみません。
ちなみに荷物預け場所に入る際は、チケットの日時を確認されます。
次の入場時間の人が並ぶための場所も作られていました。
あ、入場待ち時間は、全くありませんでした。
(9:30~10:30のチケットで、10:20頃に入場しました)
会場内
会場内は、ベンチがほとんどありませんでした。
あってもほぼ人で埋まっています。
「ちょっと座ってゆっくり眺める」は期待しない方が良さそうです。
まあ絵も小さいのが多いので、座って遠くからでは、雰囲気しか分からないかもしれませんが。
空調については、快適でした。
私が行ったのは、雨が降って肌寒い、最高気温20℃といわれる日でした。
長袖Tシャツ+カーディガンで行き、そのまま見て回りました。
冬場もこの室温だと、もしかしたらコートは暑いかも。
私の所要時間
展覧会初日の朝一番、9:30~10:30のチケットで入って、気の向くままに見てきたら、以下のようになりました。
- 10:20頃に入場
- 11:10 いったん見終わる(最後のフェルメールの部屋は、「マルタとマリアの家のキリスト」だけじっくり見て、あとは人の頭越しにチラチラと)
- 11:30 最初から見返して、フェルメールの部屋に戻ってくる
「ワイングラス」の辺りから並んで、「牛乳を注ぐ女」まで7枚、最前列で眺める(列の進みは遅い) - 12:00近くに「牛乳を注ぐ女」離脱、ショップへ
- 12:10 ショップの会計に並ぶ
- 12:15過ぎ 会計終了
というわけで、だいたい2時間でした。
最前列で見ることにこだわらず、ショップで時間を消費しなければ、1時間でも大丈夫かも。
期待よりは混んでいた
絵の前には人だかりがあるけれど、ちょっと下がると余裕をもって見渡したり、目録(小冊子でした)を読んだりできる、という感じでした。
「怖い絵」展のように、通路まで人がみっしり、という状況ではなかったです。
それでも、時間が進むと段々混んできた印象です。
公式サイトでオススメされている通り、入場時間枠の最後らへんを狙ってみたけど、意味あったのか、なかったのか・・・
展覧会初日って事で、熱意のある鑑賞者が多かったと思うので、まあ混むよね、とは思いました。
そもそも、この日は9:30~の枠も、11:00~の枠も予約枠いっぱいだったそうです。
最大混んでもこれくらい、と思えば、「怖い絵」展よりはずいぶんマシだ、とも思いました。
時間枠の最後を狙うことで、少なくとも「入場待ちをしなくて済む」という効果はあったようです。
オペラグラス、あったらいいよ
そんなわけで、見たい絵の前には、たいてい人だかりができていました。
最前列で見るには、自然発生している列に並ぶ必要がありました。(人の流れを読みましょう)
オペラグラスや単眼鏡があれば、ぜひ持っていきましょう。
フェルメールの絵は、比較的小さいものが多いです。(それが魅力でもあるんですが)
最前列に行っても、角度によっては保護のガラスの反射で、よく見えなかったりしました。
細かい光の粒の表現とかを見ようと思ったら、何か使わないときついです。
会場では単眼鏡を持った方をちらほら見かけました。
フェルメール・ブルー!▼
フェルメールの部屋をゆっくり見るには
ぜひともフェルメールをゆっくり見たい! という場合は、少し作戦が必要かな、と思いました。
フェルメールの作品は、最後の6章にまとめられているので、以下の要領ならば確実にすいているかと。
- あさいちばんのチケットを取る
- 開場より少し早めに現地へ
- 一番乗りくらいに入場する
- 最初にフェルメールの部屋に直行
- 気が済んだら、あらためて他の展示を回る
とくに休日は、時間が進むほど、中は混雑すると想像します。
大阪展では日時指定券じゃないので、早くいくのが大変かもしれませんが・・・
私はこんな作戦しか思いつきません(汗)
参考になれば。
17 : 00 ~ 18 : 30 のチケットで、17:30頃に行ったら、入場待ちは全くなかったそうです。
またフェルメール・ルームも、各絵に10人くらいずついたかな、という程度で、難なく最前列で眺めることができたそうです。
穴場の時間なのかもしれません。
予習したい方へ
私が事前に読んで、良かったのはこの本です。会場のショップにはなかったので、良かったらどうぞ。
真贋について議論のある作品を含め、37点中36点が網羅されています。(「フルートを持つ娘」という、ひじょーーに疑わしい作品だけ外されています)
17世紀オランダ絵画市場の特徴も、この本は分かりやすかったです。
公式ガイドブックはこちら▼
追記:上野にもう一枚フェルメールがある!
下記の記事で知ったんですが、2018フェルメール展の東京会場と同じ上野公園内に、フェルメールの絵がもう一枚あるというのです。
「フェルメール展」で賑わう上野に“もう一つのフェルメール”があった! 福岡伸一が徹底解説|文春オンライン
それが、国立西洋美術館の常設展にあるという「聖女プラクセデス」です。
常設展は、入館料500円で見ることができます。(個人からの管理委託作品だそうで、美術館の所蔵ではないためか、所蔵品検索には出てきません)
「聖女プラクセデス」は、フェルメール展に来ている「マルタとマリアの家のキリスト」の、すぐ後くらいの作品です。
美しい聖女が、殉教者の血を絞って集めている、という、知って見ると怖い題材かも。
真贋の論争がある作品ですが、ついでに寄る価値はあると思います。フェルメールの宗教画は珍しいですし。
この絵を紹介している福岡伸一氏は、鮮やかな配色に何かを感じたようです。
(ちなみに福岡氏、本業は生物学者さんです。フェルメールを全点踏破したマニアの方でもあり、「真作は多い方が楽しいじゃない」とおおらかな考え方です)
発売中の「文芸春秋」11月号に、福岡氏による10ページの特集記事「福岡伸一の『フェルメール超入門』」が載っています。
コンパクトながら、深くて面白かったです!
フェルメール作品はなぜ日本人に響くのか? という「基本」な話から、福岡氏目線での絵の紹介(全部じゃないですが)、フェルメールと交流があったかもしれないご近所さん(レーウェンフック:顕微鏡の発明者)の話題まで。
「聖女プラクセデス」のことは、記事終盤に詳しく出ています。
文藝春秋 2018年11月号
おまけ(本の紹介)
福岡氏(生物学者)と朽木ゆり子氏(ジャーナリスト)の対談で、めっちゃ語ってて面白かったのがこちら。
が、絶版? なのか、中古品しかヒットしません。。(でも載せる)
興味あれば図書館で探すと良いかも。私も図書館の蔵書検索で見つけました。
お二人とも全点踏破したフェルメールマニアで、他にも色々本を書いていらっしゃいます。
美術専門家とはまた違った視点で見ていて面白いので、良かったら探してみてくださいね。
メインの感想はこちら▼
脱線▼
コラボ商品、作り込みがすごい!▼
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