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「ミラクル エッシャー展」感想~あんまり難しいこと考えずに見てきた

2019/06追記:会期は全て終了しました。

エッシャーの生誕120周年を記念し、2018~2019年にかけて「ミラクル エッシャー展」が開催されます。東京・大阪・福岡・愛媛を巡回します。

で、先日、東京の上野会場に行ってきました。タイトル通り、全部エッシャー!
ミラクル エッシャー展壁画

エッシャーが、錯視・だまし絵の表現がめっぽう上手い、というのは良く分かっている(つもり)なので、今回はそれ以外で感じたことを、メインで書こうと思います。

というか、騙し絵とか不思議絵をじーっと見てると、一記事ではとても収まらないほど考えちゃうので、収まる範囲の話題を書く、という感じです。

公式サイト ミラクル エッシャー展 公式ホームページ

公式サイトより見どころ(全文)

「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られる20世紀を代表する奇想の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャ-(1898-1972)。
コンピュータのない時代に「版画」で作られた緻密かつ独創的で”ミラクル”な作品は、数学者や建築家といった幅広い専門家やクリエイターに影響を与え、今もなお多くの人々を魅了し続けています。
生誕120年を記念し開催する本展では、世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの約150点を日本初公開。実際にありそうで現実には存在し得ない《相対性》など代表作のほか、初期の作品や木版、直筆のドローイングなどから、エッシャーが唯一無二と評される作品を生み出す過程を、【8つのキーワード】を通じて紐解いていきます。
デジタル時代の今だからこそ、「版画」にこだわり続けたエッシャーの偉業を再認識できる貴重な機会となることでしょう。

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エッシャーが身近に感じられた

今回新たに感じたのは、一言でいうと、これでした。

初期の作品

エッシャーが若い頃(20~30代)の作品には、宗教画や風景画がたくさんあります。
身近な人を描いた人物画も多少あります。
展示でいうと、2~4章の辺りです。(『聖書』『風景』『人物』)

風景は、特にイタリアの景色が多いです。エッシャーはローマに住んでいた時期があり、イタリアが大好きだったそうです。私も好きだ・・・!
 

これらの作品を眺めていると、こんなのも描いてたんだ、このひとも人間だったんだ、とホッとする気持ちになりました。
ピカソの初期の作品を見た時のような気分です。

一方で、後から出てくるだまし絵・不思議絵の元になっていそうな、景色や表現がこの頃からあって、確かに片鱗がある、とも思いました。
結晶構造大好き(1章『科学』)っていうのは分かりやすいですが、それだけじゃないのが伝わります。

エッシャーの普段の姿

作品だけ見てるとすごいんですが、けっこう人間くさかったり、「平凡な日常」的なエピソードも、展覧会の端々から見えるのです。(一部は音声ガイドから)
私はそれも興味深かったです。
 

例えば、なかなかオリジナル作品だけで食って行ける状況にならず、注文を受けたり、親からの援助も受けて生計を立てていたとか。(5章『広告』辺り)
人物は得意じゃないと言いながら、家族やごく親しい友人の肖像は描いていた、とか。(4章『人物』)

エッシャーは、20代のうちに結婚して、子供も三人できたそうです。
で、息子と散歩に行った時の風景にインスピレーションを受けた、という作品があったり。(7章『反射』辺り)
奥さんをモチーフにした作品も複数あります。

そんなのを見ていると、身近な人たちとの関係はすごく良かったんだろうなとか、奥さんもエッシャーの作品を見て面白がってたのかな、とか想像して、けっこうほっこりします。
理解者がいて良かったなあ、とも思いました。「顔リボン」な作品とか、相手によっては立腹されるんじゃないかと。

エッシャーの頭脳

エッシャーの作品は、すべて版画です。
そう思って見ると、この線全部彫った(または削った)のか・・・! と迫り来るものがあります。

で、ここまで細かい作業を延々とできたのは、発達障害のケもあったんじゃないかなあと、これまた想像しました。
どこにもそんなことは説明されてません、私が勝手に想像をたくましくしているだけですが。
 

最近、テレビ等で、大人の発達障害がよく話題に上ります。
エッシャーを当てはめるなら自閉スペクトラムになるのかな、と。
人と会わなくても平気で、自分の作業にのめり込んで延々できちゃうタイプ。
特定の方向に頭が良い一方、特定以外の方向は、あんまりできなかったりします。
 

エッシャーは、一人で仕事するのが好き、というか共同作業ができない人で、仕事中に視界を人が横切るのさえ嫌だったらしいです。
弟子も取らなかったといいますし、なかなかの変人です。

あと、中々信じられないんですが、エッシャーは数学が苦手だったそうです。
数学者と話をしては、互いにインスピレーションを受けていたそうですが、自身は数学はそれほど出来ないと。(それほどってどれくらいなのか分かりませんが・・・)

そんな人が、独自に表現を追求して、これだけの作品を生み出して、これだけ評価されている。
現代の数学者からも、評価されたり分析されたりしてるんです。
何でもやり方次第なのかもしれない、と勇気づけられる気がしました。

無限を描きたい

今まで知っているつもりだった、騙し絵的な絵も、今回ちょっと見方が変わりました。
(8章『錯視』、Epilogue『循環する世界』)

エッシャーには、「滝」や「相対性」のような、何を考えて描いたんだ! みたいな作品が色々あります。
これら、「目を騙して楽しませよう」というよりは、平面にあり得ない世界を創り出すことで「無限」を描くことに挑戦していた、のだそうです。

そう思って見ると、今までと違うことも考えながら眺めることができました。(ここを掘りすぎるとまとまらなくなるので書きません・・・!)

感想のまとめ

展覧会前半では、エッシャーの人間的な部分を知り、
展覧会後半は、世界の深淵に触れた、って気分になりました。幾何学的・宇宙的な意味で。(哲学的にも感じ取れる事はある)
 

そして、一人の頭から、これだけの作品が出てきたっていうのが、ホントすごいです。

今の私たちは、魚眼レンズで撮った写真や、コンピューターが描いた変化する幾何学模様など見慣れていますが、エッシャーの頃はそんなの無かったのです。
イスラム建築の装飾(幾何学模様)にはすごく影響を受けたそうですが、それにしても、無い所から作り出した、ってのが。
圧倒される展覧会でした。
 




その他情報・感想

音声ガイド

音声ガイドは、内容はちょっと浅く感じました。
作品背景の補足はしてくれるけど、科学的にどうとか、数学的にどうとか、掘り下げてくれる感じではないです。
ただ、「でんぐりでんぐり」の解説を読み上げてくれたのはすごく良かったです。(絵にびっしり彫り込んである解説(もちろん横文字。英語ではない)を、かいつまんで訳してくれました)
あとエンディングも良かったです。

内容以外では、バカリズムさんの見事な声芸が、すごい面白かったです。
展示を目で追うだけでは、やっぱり疲れてくるので、息抜き用に音声を借りとくのは良いと思います。

税込550円です!
耳の不自由な方は、音声ガイドの原稿を借りることもできます。(有料)

混み具合・所要時間

金曜日の夜間帯に、仕事帰りの主人と合流して見に行きました。
入場待ちはなかったです。

待ち時間情報が公式ツイッターに流れてるので、チェックすると良いです。休日は少々待ち時間が発生するようです。
ミラクル エッシャー展 公式ツイッター(混雑情報)

所要時間は、17~19時の2時間ほどでした。
会場内の混雑は、17時はそこそこでしたが、段々混んできました。

状況によっては、なかなか作品に近寄るのが大変なので、オペラグラス等あれば持参すると良いです。
 

あと、体験型映像コンテンツとして、ショップを抜けた先に、こんなブースがあります。

ミラクル デジタル フュージョン:体験者を本展メインビジュアルの《相対性》の中に”動画で”合成します。

私たちが通った19:20頃には、待ち時間15分と案内されていました。

ショップでニュートン買っちゃった

ショップでは15分ほどウロウロしました。

ポストカードも買ったんですが・・・
理系の方なら見たことあるであろう、Newtonがたくさん積んであり、これも買っちゃいました。
ミラクル エッシャー展 本とポストカード

2018年7月号と、別冊「数学の世界 図形編」の2種類置いてあり、どちらもエッシャー作品を取り上げた特集が載っています。
展覧会目玉の「メタモルフォーゼⅡ」や、有名作「滝」「ベルヴェデーレ(物見の塔)」なども載っています!
 

2018年7月号。

Newton(ニュートン) 2018年 07 月号 [雑誌](Amazon)

別冊。(私が買ったのはこちら)

図形敷き詰めから多面体、円周率、黄金比、トポロジー等々、幾何学の話がわんさと載っていて、数学の話題が好きな方にはツボだと思います。
フルカラーで図解が多いので、エッシャーみたく数学が苦手な方も、眺めるだけでも楽しいと思いますよ。
 




会場情報

公式サイトの「日程・チケット」各ページより引用します。(少々編集もしてます)

【終了】東京会場

会場:上野の森美術館

会期:2018年6月6日(水)~7月29日(日)※会期中無休

開館時間:10:00~17:00 毎週金・土曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで

【終了】大阪会場

会場:あべのハルカス美術館

会期:2018年11月16日(金)~2019年1月14日(月・祝)
休館日:各月曜日と1月1日(ただし12月24日、1月14日の祝休日は開館)

開館時間:火~金/10時-20時、月土日祝/10時-18時
※入館は閉館の30分前まで

【終了】福岡会場

会場:福岡アジア美術館

会期:2019年2月28日(木)~3月30日(土)
休館日:毎週水曜日

開館時間:10:00~20:00 ※入場は19:30まで

【終了】愛媛会場

会場:愛媛県美術館

会期:2019年4月12日(金)~6月16日(日)
休館日:【4月】15日(月)、22日(月)
    【5月】7日(火)、13日(月)、20日(月)、27日(月)
    【6月】4日(火)、10日(月)

開館時間:9:40~18:00(入場は17:30まで)

 

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