【上野2/18まで】古代アンデス文明展の感想です【土器、キープ、死生観、外科手術・・・】

インカ帝国が有名な、古代アンデス文明。
教科書でマチュピチュとかキープとか見て以来、ずっと興味を持っています。

時々展覧会とか行っては、おおって思って、次の機会までに7~8割忘れて・・・みたいに繰り返してましたが、今回は予習も含め、どっぷり浸ることができました。
私たちが普段暮らしているのとは異質な文化でありつつ、根源は日本と似てるかも、とも思いました。
いつも使わない頭を使った気分です。

古代アンデス文明展チケット

アンデス文明の気になるところ

個人的な興味ポイントが三つあります。
このへんを頭の隅に置きつつ、見て回りました。

死生観と生贄文化

エジプトとはまた違う、ミイラさん文化があります。
乾いた土地なので放っておいてもミイラ化する、というのがそもそもの前提です。
ミイラと一緒に暮らしていたとか、一体どういう感覚なのか。

生贄は、わりと日常的に儀式として行われていたようなイメージを持っています。(なんか誤解してるかもしれません)
生贄を手に入れるために戦争までするってどういうこと。

文字がない

これが興味が尽きない根源かもしれません。
キープが気になって気になって。

開頭手術

頭部の外科手術が行われていた、というのが脅威だと思うのです。
しかも時代が進むと、けっこう生存率が高かったそうです。

会場を見ての感想です

記憶頼りで書いていきます。展示順ではなく、思い付いた順です。

どうもうまくまとまらないので、垂れ流し状態ですが(←表現が汚い)、よろしければお付き合いください。
(後で編集し直すかも。文明の名前とか書き足したい)

「当たり前」の物がない中での文明

古代アンデスには、鉄の加工の技術がありませんでした。
だから、高度な石材加工をどうやって行っていたかが、なかなか想像ができません。
文字もないし、そんな中でどうやって巨大な建造物を作ったのか。

文字も鉄もあって当たり前のヨーロッパ人から見ると、これらなしで高度な文明が育ったとは信じられなくて、宇宙人説を本気で支持した学者もいたとか何とか。
あと車輪もないです。回転する構造が発明されてない。
だから土器なんかも、全部手ひねりなわけで。

現代人の常識では当たり前のあれこれがない、だけど確かに文明は栄えている。
常識と想像力に挑戦されている気分になります。

キープについて

読み書きするために3年間、王立の学校に通って勉強するそうです。
この3年とかいうのは、スペイン人が聞き取って記録したのかと思いますが。

だったらキープの読み方も記録すればよかったのにと思いますが、そう簡単なことではなかったのでしょう。なにせ習得が3年がかり。
特別なものだろうから、余所者、しかも皇帝を略奪するような相手に、そんな読み方なんて教えられないよね、とも思います。

宗教・生贄

古代アンデスは、多神教の世界です。
二元的な考えがありつつ、中心的な太陽神もいつつ、自然界や死者の国など色々なものごとを神様ととらえていました。
これは日本人としては親近感じゃないかと。

生贄文化は、砂漠や高地といった過酷な環境が背景にあるようです。
とくに砂漠は過酷。常に水が足りない! みたいな。
神様は人間の血を取り込んで力を得る、という信仰があったようで、壺にそんな絵が描かれたものも展示がありました。

展示ですごい印象強いのは、自分の首を切ってる宗教指導者さんだかの土器。自らを生贄として捧げる場面だろうか、との解説でした。
首のぱっくりが、引くほどリアルでした。
痛くないのかなあ、と思って仕方ないのです。
痛みとは警告であり、生命としての消滅につながるものであり、根源的な恐怖につながっていると思うので。
それを自分でやるっつーのが。切腹も人のこと言えませんが。
意思の力や、宗教的な高揚が上回るんでしょうかね。
それとも向こうだと、コカの葉をかんで開頭術の麻酔にできてたくらいだから、なんか植物でも使って、そういうためらいも全部吹き飛ばしていたのでしょうか。
 

とはいえ、世界中他の地域でも、人柱とかありますよね。
残酷さ(現代の感覚で)は、公開処刑とかも負けてないと思います。目的は違いますが。

そう思うと、アンデスの生贄文化も、際立って特殊なものでは無いのかなあ、という気もするのです。

生と死はひとつながり

死者は、死んだ後も死後の世界で生き続ける、みたいな考えだったようです。
死んだ家族のミイラ化したのを家の中に住まわせて、ご飯あげたり、生活道具を渡したりもしていたようで。
全員がそうだったのかは分かりませんが。

日本での、仏様にご飯を供えるのとは、感覚が違うようです。
死んだ人は、仏様みたいな存在になったわけではなくて、あくまでその人のままで、この世と同時並行で存在する世界で普通に暮らしてる、みたいな。

正しく解釈できてるか自信が足りないですが、こんな風に受け取りました。
死は特別な事じゃなくて、自然なことで、そんなに忌むべきものとは考えてなかったらしい、と。
今の日本の、死を恐れて遠ざけがち、死の間際まで医療漬けの場合が多い、といった現状を思うと、見習うべき感覚とも思いました。
 

それにしてもミイラと暮らしてたっていうのは、ちょっと衝撃ですが。
放っておいてもミイラ化するような環境なら、少なくとも感染症の元になるとかいうことはなさそうです。

ジャガーの頭

アンデスでは、蛇や猫など、神様やその使いとして神聖視された動物がいくつかありました。
中でもジャガーは神聖な動物で、これを象った石像が複数展示されています。

シャーマンがジャガーに変わっていく様子を追った石像が、実物2+映像2=合計4点すべて見られたりします。

この石像、何かに似てると思ったら、獅子舞の頭(かしら)に雰囲気が似てました。
獅子は空想の生き物ではありますが、ライオンとも考えられます。そうすると、どっちも猫科です。
ちょっとこじつけですが、親近感が湧きます。

土器がすごい

土器の造形が精巧で、目を見張るばかりでした。
展示ケースの横へ回って、土器の裏側まで覗き込んで見ちゃいました。彫刻めいた土器は、裏の造作も丁寧です。絵が描かれたものだと、裏側は彩色が違ったりします。

時代が下ると、段々大きいものも作られたり、文様が細かくなったり鮮やかになったりします。
地域によっても違います。
土器自体も形が洗練されていきます。
ロクロじゃないのが信じられないほど、均整が取れている壺もあります。
職人の腕が上がったんだろうと想像します。

西洋では大理石の人物像がたくさん見られますが、アンデスは実用的に見える土器で人物像を作る、という文化と感じ取れます。
発想の違いっぽくて面白いです。

生きた証を残したい

土器を見ながら、生きた証しを残したい、というのは世界中どの時代もあるなあ、とも思いました。
ブログ書きもその一端だなあと。

文字がない分、こうやって土器とか作って残しています。
キープの役割はどのへんだったんでしょうね。実務的な記録だけだったのかしら。

ピラミッドだって、アンデスにも立派なのがあります。
神殿・宗教施設として使われていたと考えられています。
人間の根源的な発想とか欲求とかって、世界どこでもそんなに違わないのかなあと思えてきます。
根源的なものが、自然環境の特色によって分化していくのかなあ、と。

美術的な話

土器とか絵柄とか、なんかデザイン的でユーモラスなのが多いなあと思いました。
西洋ルネサンスのような写実的なのとは違っていますし、それより前の宗教画の硬い感じとも違います。

土器とか、精巧とはいえ、ある程度簡略化しないと作るのが難しいと思うので、特徴を捉えて簡略に表現する力に長けていたのかな、とも思いました。

中国とかヨーロッパとか日本には、写実的な陶磁器もあった気がしますが。
そこは文明の続いた長さの違いか、発想の違いなんだろうと思います。

開頭術について

古代アンデスは、鉄の加工が発明されなかったので、刃物も普及しなかったそうです。儀式用の、青銅製なんかの刃物が少しある程度。
だから戦争でも、切る武器ではなく、殴り付けるような武器がずっと使われていたそうです。

すると頭部の打撲が致命的になり得ます。
打撲によって、頭蓋骨の内側に血腫ができたり、脳みそ自体がむくんだりする。
それを放っておくと、頭蓋内で脳みそが押されたりパンパンになって、脳みそとして働かなくなってしまい、死に至ります。

でも、速やかに頭蓋骨に穴を開けて、圧力を逃がしてやれば助かります。現代でも行われている治療法です。
古代アンデスの人々も、このことを経験から学んでいったのでしょう。
神秘的な目的でも開けてたかもしれませんが、こうした実用的な目的でも行われていたのは確かなようです。
乾燥した高地なので細菌が少なく、わりと衛生的に施術できた。
コカの葉を噛む習慣があり、これを麻酔として用いることができた。
って辺りが、普及した要因といわれてるそうです。

詳しいことは、予習で見たサイトの方が勉強になりましたが、会場では実際の頭骸骨や、コカの葉入れ、戦争の武器など展示されていてイメージが膨らみました。

全てがインカに繋がる

様々な文明が栄えては滅び、そしてインカ帝国に至る、という事が、展示全体を通して見えた感じです。

前の文明で発明されたり発展した、様々な物や仕組みが、インカに生きている。
キープ、インカ道、建築技術、宗教関係・・・
一連の展示が、インカに収束するのが感じ取れました。
これが展覧会の最終回答か、とか思いました。

やっぱり異質ではある

日本とアンデスは地理的にも遠いし、気候風土もかなり違います。
現代日本は欧米由来の文化がたくさん入っているので、文化的にも、馴染んだものとは完全に別です。
スペインが来るまで、アンデスは独立した文化をはぐくんでいましたからね。
アンデス文明に浸ると、頭が柔らかくなる気がします。

メディアガイドについて

500円です。オーディオガイドって520円が多いので、若干のお得感が。
スマホとタブレットがありますが、スマホの方が首から掛けられるし重たくないのでオススメです。
借りるときに使い方を説明してくれました。

音声だけでなく、映像が見れたりクイズが付いてたりして面白かったです。
展示を見るのに疲れてきたら、隅に寄ってクイズやって気分転換してました。

展示品の説明は、書いてない事も教えてくれてお得感あります。
文化の中での位置付け、みたいな方向にも話が行くので、物と文化が結び付いて理解できます。

展覧会情報

東京(上野)

公式サイトより引用します。

会期:2017年10月21日(土)~2018年2月18日(日)
休館日:毎週月曜日、12/28~1/1、1/9
  ※1/8(月)、2/12(月)は開館
開館時間:9:00~17:00
  (金曜日、土曜日、11/1、11/2は20:00まで)
  ※入場は各閉館時間の30分前まで

会場:国立科学博物館

入場料(当日券):
一般・大学生 1,600円
小・中・高校生 600円
金曜・土曜限定ペア得ナイト券 2人で2,000円

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