2017年6月3日に行ってきました。私は一応もと地元民ですが、いち観光客として満喫してしまいました。ホームページに出ていた案内よりも規模が大きかったので、余計にテンション上がってしまった気も。
場所は、民家園内「信越の村」。長野、富山、岐阜の建物が集まっている一角です。この中の三軒が会場となっていました。
- 佐々木家(長野の名主の住宅)・・・民謡披露
- 野原家(越中五箇山・利賀集落の合掌造り住宅)・・・映像上映、お茶ふるまい、茶話会
- 山田家(越中五箇山・桂集落の合掌造り住宅)・・・スライドショー上映
では、やっていたことを紹介していきます。
会場 川崎市立日本民家園
芸能披露
午前の部の公演を見ました。越中五箇山こきりこ唄保存会の方々が、麦屋節とこきりこ節の二曲を披露されました。
10:30開演ですが、10時ごろから場所取りに座ってらっしゃる方もいました。
何年か前、雨の日にお邪魔したときは、右手の「佐々木家住宅」の中が会場でした。今回は晴れているので外です。
左手に見えるのが、スライドショーの会場「山田家」、その左奥には、茶話会が行われる「野原家」があります。
始まりました。一曲目は麦屋節。
踊り手さん、一人だけでした。注目の的・・・!
ビシッと決めてました。さすがです。
冒頭および踊りの合間には、観光協会の方のあいさつや説明も挟まります。こきりこ節の衣装について話しているところ。
こきりこ節は二人で踊りました。踊り手さんの片方が、腰が痛そうに見えて心配でした(余計)
最後には、観客にもささらを配って、地方(じかた)の演奏に合わせてみんなで鳴らしました。踊るよりも手軽に一体感が出てて楽しかったです。
余談ですが、麦屋節の演奏は胡弓(こきゅう)が省略、こきりこ節は鼓(つづみ)が省略、でした。それでも雰囲気は十分でしたが、地元の祭りに行けば、もっと深みのある演奏を楽しめます。踊り手の人数や踊りの種類も多いですしね。
午後の部は、保存会が踊ったあと、小学生が前に出てきて一緒に踊っていました。(昼食と、他の民家の見学もしていたら時間が経って、ちょうど見れてしまった)
前日に、川崎市内の小学校で出前授業をしたそうで、そこでこきりこを習った子供たち(の一部)が踊りに来てくれたそうです。
ゴザにもお客さんがいっぱいで、午前よりさらに賑わっていた様子でした。
参考 世界遺産の民謡 富山の「こきりこ」 きょう、あす、川崎・日本民家園で披露 – 東京新聞 2017年6月3日 リンク切れ
地元民は、みんな麦屋節が踊れるのです。小中高合同運動会で、麦屋節の総踊りをするので、確実に習います。
また、小中学校の郷土芸能活動では、いろいろな民謡の踊りや地方(じかた=民謡の伴奏)の練習をして、学習発表会や文化祭、地元の祭りで演じます。
平高校の郷土芸能部出身者なら、めっちゃハイレベル(全国高校文化祭で優勝するレベル)の演奏・踊りをします。
そういう人たちが、こきりこ保存会にも入っているので、麦屋節の一節くらいお手のもの、というわけです。
スライドショー
ホームページには出ていませんでしたが、山田家で上映していました。
(外から見上げた山田家)
こちらの作品でした。
越中五箇山アーカイブス 1965-67
昭和40年から42年にかけて、曽我忍さんという写真家が、五箇山に住み込んで撮った写真の数々です。(私、写真集を持ってるので、こんなところで会うなんて! って気分)
迫力のある白黒写真で、じっと見てると、雪の色や夏の山の色、水の色など見えてくる気がします。桜も咲いてたし。
印象的だったのが、吹雪の中を郵便隊が歩いている写真です。
最初、画面が真っ白で、この間はなに?? と思ったら、吹雪で人影がほとんどかき消されている山道の写真でした。(ゆっくりカメラが動いていくと分かりました)
厳しい冬の空気が伝わってきます。
五箇山の茶菓
江端商店のお菓子が二種類あり、選ぶことができました。旦那の分も借りて写真。
(この記事の最後の方に、外観だけですが、江端さんを紹介してます→ 【世界遺産】相倉合掌造り集落を散歩 その4~相倉から下梨へ)
私は「栃の詩」。
求肥でできた小さい栃餅で、甘めの粒あんがみっしり入っています。
栃の香りがほんのりして、アクは全然感じず、慣れてない人にも食べやすい感じです。
私の実家の濃ゆい栃餅が苦手な主人も、これならいけるかも?
主人は栃を避けて「合掌さぶれ」。みょうが味噌味です。珍しい!
味見させてもらいましたが、味噌の香ばしさがすごかったです。みょうがはほとんど分かりませんでした。
ほんのり塩気もあって、万人向けな感じに美味しいです。今度土産に買おう。
お茶も、そば茶のような香ばしさで美味しかったです。弘法茶(こうぼうちゃ)といって、原料はカワラケツメイだそうです。おなかの調子を整えるとのこと。
初めて飲んだ気がしますが、五箇山のどこで飲まれているんでしょう。狭いようで広い五箇山。
映像上映
茶話会が始まる前に、南砺市紹介映画「南砺ゆるり旅」が上映されていました。最後の15分くらいを、お茶を飲みながら見れました。落語家の立川志の輔さん(富山県高岡ご出身)がナレーションでした。
(↓左手がスクリーン)
南砺市は8町村が合併してできた市ですが、8地区それぞれの特色が分かりやすく紹介されていて、地元ながら行ってみたくなりました。井波の瑞泉寺に、北陸最大の大伽藍があるとか、知らなかった・・・!
茶話会
観光協会のお姉さん(おかーちゃん)が、マイク片手に話をしてくださいました。
(↓会場の野原家)
私たちが聞いた回は、白山(はくさん)信仰を中心とした話です。
上梨地区の白山宮で、こきりこ祭りの奉納踊りが行われますが、そもそも白山と五箇山にどんな関係があったのか?
五箇山から見て、石川県加賀地方の白山は、「地理的に近い」というのがまずありました。五箇山だけでなく、石川や福井といった白山周辺地域も、あちこちに白山信仰の寺社があります。五箇山も白山信仰の圏内だった、という感じです。
五箇山地方の中でも石川・岐阜との県境に近い、笈ヶ岳(おいずるがたけ)の山頂からは、白山がそれは良く見えるそうです。白山信仰の修験者が埋めた遺物が、笈ヶ岳の山頂から見つかってもいるとか。
そんな背景があって、五箇山に訪れた白山修験が踊りを伝えた、または修験者が踊っているのを村人がまねた、と考えられています。修験者を通して、中央(当時の都:京都)と文化交流をして、その中の一部が、こきりことして今も伝え残されている、と。
私の知識不足で、あんまり理解できてないので、変なこと書いてたらすみません(知ってる方、指摘してください・・・!) それでも、古い時代の歴史を感じることはできました。
話をしてくださった観光協会の方は、地元訛りが好感度大で、話は聞きやすくて上手で、とても良かったです。踊り披露の司会も担当していた方です。
民謡の背景にしろ、信仰の歴史にしろ、詳しく知っていて、そして喋れる! きっと勉強もすごくされてます。
観光協会といってPRするためには、こういう学者的な側面も大事なんだなあ、と、私は感動に近い感心のしかたをしてました。
今回のイベント情報(参考)
民家園に五箇山が来るのは、これで5年目ほどになるそうです。来年もきっと来ると思うので、参考までに今年の情報を残しておきます。
公式サイトの案内から、引用・編集したものです。
世界遺産五箇山がやってくる!「五箇山へちょっこし寄ってかっさい」
民家園にいながらにして五箇山に遊びに来た雰囲気を味わっていただける催しです。
伝統芸能「こきりこ」の公演、五箇山のお茶やお菓子体験、五箇山に関するお話しなど、見て、味わって、学べる催しです。★日程:6月3日(土)~4日(日)
★野原家住宅で、お茶ふるまいや映像上映 10:00~15:30
・五箇山の茶菓(料金:300円)
五箇山ならではのお茶やお菓子をお召し上がりいただけます。
映像を見たり茶飲み話を聞きながらお楽しみになれます。・五箇山の映像上映
現地の暮らしの様子等の映像を、床上に上がって自由にご覧になれます。★現地の方による踊り披露とよもやま話
こきりこ公演 五箇山茶話会 1回目 10:30~11:00 11:30~12:00 2回目 14:00~14:30 15:00~15:30 場所 (6)佐々木家 (9)野原家 出演:越中五箇山こきりこ唄保存会
協力:南砺市観光協会
ちょっこし寄ってかっさい=ちょっと寄っていきなよ! くらいのニュアンスです。わりと気軽です。
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