横浜駅(現実世界)の書店に並んでるのを見つけ、設定説明のPOPを読んで吹き出して、買うしかなくなったやつです。
横浜駅が1915年の開業以来、一度も工事が途切れたことがない、という事実から発想された、
『改築を繰り返す横浜駅がついに自己増殖の能力を獲得し列島を飲み込んだあとの日本を旅する物語』です。横浜駅SF 途中なのにあとがきより
で、至って真面目に緻密にSFしています。文章も淡々と安定しています。
そうやって真面目な顔してるくせに、用語がこっちの世界をめちゃくちゃパロってるので、そのギャップで笑えます。JR ⇒Japan Ruler とか、suika ⇒語源「誰何」とか、設定が作り込まれているのも面白すぎます。笑えるSFとか初めてかもしれません。
誰かのレビューにすごく同意したんですが、駅関係(だけでもないけど)のなじみのある言葉が出てくるんで、世界観の想像がしやすく、作品世界に入り込みやすいです。エレベーターが「生える」とか言ってるし。北陸では最近までSuica使えなかったんだぜ、と片隅で思ってたら、ICOCAがポイと出てくるし。
SFの難しい用語が苦手な人にも、敷居が低い感じです。利点だなあと思います。
とまあ、私があーだこーだ騒ぐよりも、作者さんのツイートなどを見た方がピンとくると思うので、引用させていただきます。
全ての始まりであるネタツイート↓
横浜駅は「完成しない」のではなく「絶え間ない生成と分解を続ける定常状態こそが横浜駅の完成形であり、つまり横浜駅はひとつの生命体である」と何度言ったら
https://twitter.com/yubais/status/551590214812979200
でも横浜なんでしょ、と引っかかってる人へ↓
【横浜要素】
本作では「横浜」はいちども登場しない。これは横浜駅のSFであり、横浜のSFではないのだ。したがって「地元だwww」といった感想を述べた横浜市民の皆様、申し訳ないがあなたは根本的に勘違いしている。
横浜駅SF 途中なのにあとがき
この冷静さにしびれます。
おっしゃるとおり、北海道から九州・四国まで色々な場所が登場しますが、横浜は出てきません。シウマイネタが横浜っぽいくらいかと。(崎陽軒のシウマイは、横浜市内の主要駅では必ず売ってるので、「横浜駅」の構造に取り込まれるのは納得)
北陸の辺りも、名前程度は出てきます。
身近な駅とか、コンクリや鉄でできた大きな建物を想像しながら読むと、きっと面白いと思います。
参考情報
カクヨム版に修正およびエピソードを足して、書籍版となっています。
横浜駅SF特設サイト
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