北海道シリーズの続きです。
今回は、知る人ぞ知る、タウシュベツ!
1987年に廃線となった、国鉄・士幌線の橋脚です。
タウシュベツ橋梁自体は、廃線よりもさらに前・1955年に糠平(ぬかびら)ダムが建設された際、ダム湖に沈む事になったそうです。(というか沈んだり出たりしてます)(このとき士幌線は、沈まない位置に敷き直したとのこと)
鉄橋ではなくコンクリートの橋で、とても風情があるのです。
士幌線は、帯広から十勝三股(とかちみつまた)まで78.3kmを結ぶ路線です。
1939年に開通し、主に穀物の輸送や材木の運搬に使われました。
当時は、上士幌以北への唯一の交通手段だったそうです。
上士幌~十勝三股間には、37か所もの橋がかけられました。
その中でもひときわ美しい姿を誇っていたのが、音更川(おとふけがわ)の支流・タウシュベツ川に架けられたタウシュベツ橋梁です。
1934年に、大雪山一帯が国立公園に指定されたこともあり、自然景観を損ねず調和するような橋がデザインされました。
鉄を運んでくるのが大変なので、近くの材料で作れるコンクリート橋にした、という理由もあったそうです。
(ツアーでいただいた資料を参考に)
早朝ツアーで行きました
宿泊していた糠平舘観光ホテルの、早朝送迎プランで行きました。(宿泊予約の際、無料送迎付きプランを選びます)
この日は5:15集合、5:30出発、7:30頃帰着、という案内でした。
タウシュベツへ
国道273号線を北上し、途中で右へ折れて林道に入ります。
この林道は通行規制があり、入口は柵に鍵で閉じられています。許可を得ないと入れません。
徒歩で入る分にはバレませんが、現地まで4kmくらいあるし、熊も出る恐れがあるし、ケータイは通じないしで色々危険です。無謀な事はせずツアーに乗っかるか、個人で申請して車で入るのが安全です。
向かうのは、地図ではこの場所。
ダム湖の中にポッチが付いてますが、これは水位が高い時期です。
冬にたくさん発電して、ダムの水位が下がると、1月頃に橋は水の外へ出てきます。そこへ雪解け水や雨水が溜まっていき、9~10月には、再び橋はダム湖に沈みます。
林道の途中で車を止め、ここからは徒歩で。車・バイクの立ち入り禁止と看板が出ています。
(写真は帰り道に撮ったものです。実際は日の出前で薄暗かったです)
この道が、昔は線路そのものだったそうです。
妙に木がゴロゴロしているのは、昨年(2016年)台風が3個来た時の流木だそうです。そのときはこの林道まで水が溜まった、ということ。
比べると、今年はまだ橋全体が見えるほど水位が低いそうで、年によって全然違うのがよく分かります。
着きました
林道を抜けると、橋がこのアングルで見えます。
写真で想像してたアングルを思い描いてると、ぽかんとしますが。
林道を通ってきた線路が、まっすぐあの橋を渡って、その先(幌加・十勝三股方面)(糠平温泉・帯広方面)に続くわけですね。(方向まちがえてました。ご指摘ありがとうございます)
ちょっと脇へ寄ると、確かにあの橋だ! と分かります。
ここから右側、ダム湖の水面が近い方へ、まず降りてみます。方角では西。
特に見学用の道とかはないですが、石がゴロゴロしている斜面を各自のセンスで降ります。
同行グループのおばあちゃんも降りてたし、若者なら全然行けます。(ただし慎重に!)
降りたところから。水面に映って、眼鏡橋の風情です。
ダム湖の対岸には朝日が当たっています。
ちなみにこの場所、足元は草が生えていて夜露がびっしりで、一部はぬかるんでいます。ホテルで貸していただいた長靴を履いていますが、これ大正解です。
場所が水を溜めるダムですから、水っぽくなるのも仕方ない気はします。
日の出です。デジカメのスタンプでは5時57分です。
5:52頃です。(デジカメの時刻がずれていたので訂正)
完全に遺跡です。こういう景色大好き。
次は反対側へ回りましょう。気が済むまで眺めるべし。
朝日に照らされると表情が変わります。
水没して凍って解けて、水が引いたら吹き晒されて・・・を繰り返している橋は劣化が早く、あちこち崩れてきています。
立ち入り禁止のロープで、ぐるりと囲われています。
万一怪我人が出たら、その時点で橋を取り壊す事が決まっているそうです。
そうでなくても当然ですが、立ち入り禁止の指示には従い、マナーを守って見学をするべし、です。
とはいえ、規制の範囲で近寄って見たいのが人情でもありまして。
鉄筋の太さ、私の親指ほどもありました。立派だなあ。
橋のたもとに人がいるのが見えますか? このスケール感です。
ローマの水道橋なんかと似たものを感じるわけですよ。ローマ人はコンクリートが得意ですから、それも連想する一因です。(パンテオンとか2000年近く建ってる)
ローマ遺跡といっても、ローマ市内にひしめいている建物ではなく、郊外にぽつんとたたずんでいる様子を想像します。
ちなみに足元の小川は、水面近くに石が出ている場所を、慎重に渡ります。
場所によっては、若干水流が怖いです。尻餅つきたくない。
振り返ると小川の上流が見えます。
この川を渡るための、タウシュベツ橋だったんですねぇ。
満喫した
私たちと、同じホテルからの女性グループ一組で、30分ほど貸し切り状態でした。
日によってはTVなどの取材が来ていたり、他のツアーと一緒になることもあるそうなので、この日はラッキーでした。
天気も良くて、とても好条件で見学できました。
いつ崩れてしまうかもわからない橋なので、今回来れて良かったです。
ツアーは他にもあります
糠平館観光ホテルのツアーは、資料をくれたり簡単な案内はしてくださいますが、観光ガイドはありません。
それでも十分でしたけどね。
他にも、NPO法人主催のガイドツアーなんかがあるので、時間と興味に応じて選ぶと良いです。
NPO ひがし大雪自然ガイドセンター
そんなところです。
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