普通、薬って増やせば効くし、減らせば効かないものですが、そうでもない場合があるそうなんです。
医師向けの話題ですが、興味深いと思ったのでメモ程度に。
参考 山崎麻由子、伊藤隆「漢方薬が効かないときの次の一手:減量という選択肢」日本医事新報2017.9.2号(No.4871)P54
※ここでの「漢方薬」は、保険適用のエキス剤を話題にしています。
普通、増やすほど効き目が強く出る
繰り返しになりますが、薬って普通はこうです。
で、ある程度まで増やすと、それ以上飲んでも効果は同じ、頭打ちになります。洗剤の洗浄力みたいです。(※ごく一部、頭打ちがない薬もあります)
医薬品に限らず、サプリメントも摂りすぎ注意と言いますよね。
物にもよりますが、効果が出すぎて害になったり、効果が頭打ちになるので意味がなかったり、はたまた副作用ばかり増え始めたりするから、このように言われます。
漢方の場合
ところが漢方薬は、薬が多すぎると、かえって効果が弱まる場合があるようです。参考文献から引用します。(書き手の先生の体験談です)
過敏性腸症候群の患者で、桂枝加芍薬湯3包/日では全く効果がなかったものが、1包/日に減量した途端に奏功したり、
瘀血が原因と考えられる腹満を訴える患者に桂枝茯苓丸2包/日を処方したものの1包/日で症状が最も改善したと言われたこともある。
他にも、マウスを使った基礎研究で、投与量が少なすぎても多すぎても効果がなかった! との報告があるそうです。(便秘のモデルマウスに大建中湯を投与した研究です)
また、抑肝散について、投与量の違いによって鎮痛作用や抗ストレス作用が強くなる、と示唆される研究もあるそうです。
人によりますよ、という注意
注意したいのは、これらは確固たる根拠が示された! って話ではなく、あくまで著者の先生の体験談や、動物実験レベルの話だってことです。
多くの人に問題なく効果が出る用量は、既に分かっているので、まずはその量から試すのが筋です。
長期飲む種類の漢方薬は、2~3週間は続けてみないと効果が分からないっていうのが基本です。
合う漢方薬は美味しく感じるといいますが、これもたまたま最初飲んだ時の体調が通常と違う場合など、すぐには合ってるかどうか分からないことがあります。
なので、最初は騙されたと思って飲んでみましょう。
それでもパッとしなければ、減量してみるのは理にかなっているかもね、という、あくまで「次の一手」よりも先の話です。
減らす前に医師に相談してね
「減らす」の他に、「処方を変える」の選択肢もあります。むしろこっちのが先かも。
なので患者さん側は、自己判断で悶々とする前に、先生に言いましょう!
他の処方が合いそうならば変えないといけませんし、本当に減らした方が良いなら、処方してもらう量も減らさないといけないですしね。
もし先生に言いにくければ、薬剤師や看護師に相談しても、対応してくれると思います。(これだと医師に確認が発生するので、時間はかかってしまいますが)
・・・漢方薬って不思議!
以上です。
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