新聞広告で絶賛されているのを見て、先月行った映画です。遅ればせですが感想を。
19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。
踊りのすさまじさもさることながら、子供を持つくらいの年齢で見たらからこそ響いたのかなって部分も色々ありました。
公式 映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』公式サイト
※最初の項目にネタバレあります。見たくない人は、目次から飛ぶか、回れ右してください。
ここだけネタバレ:才能の重さと、支えた家族のすごさ
本人はもちろんすごいんですが、家族の努力も相当なものだ、と強く思いました。
本人(8歳か9歳)を、国一番のバレエスクールに通わせる学費のために、父親と祖母が出稼ぎにいくとか。
母親はほとんど付きっ切りで本人の世話、とか。
出稼ぎの関係で、父親は6年間息子に会えなかったとか。
そこまでしたんだ、と圧倒されました。
一流アスリートや芸術家の親って、みんなこんな感じで身を削っているのなあと親目線で考えたのが、我ながら印象深いです。
金銭面、練習付き合う、計算した食事、メンタルの支え・・・など、身を削るやりかたは色々でしょうけども。
ギフトを持った子を授かってしまった業みたいなのを、勝手に感じていました。
子供ってある程度、大人には想像もつかない事柄を生み出したりやったりするもので、ハタチ過ぎたらタダの人ってパターンも世の中多いのではないでしょうか。
そんな中で(?)才能を確信するのもすごいし、それを尻叩いて育て上げる根性・覚悟もすごいと思うのです。
(才能については、地元の体操教室の先生が、「この子はただものじゃない!」と見出したのがきっかけみたいです)
で、周りの期待に応えられちゃう本人もすごいんです。
家族が離れ離れになっている理由が自分、というのは重たかっただろうなあと思いつつ、軽々と登り詰める(ように見える)のは、確かに才能あるんだなあと感じました。
天賦の才ってやつですね。
舞台の前に栄養剤や鎮痛剤を飲んでいる場面も出てくるんですよ。
精神的なことだけでなく、肉体的にも、当然ものすごく負担がかかるのが伝わってきます。
それでも踊らずにはいられない。
あたわっているんだなあ、と思います。
ポルーニンは、体に何か所も刺青を入れたりして、破天荒なダンサーという面もあります。
イギリスのバレエ団で修行の途中に、両親離婚しちゃうし(それでも連絡は取り合う間柄だったようですが)、そりゃ荒れるし悩むだろうなと思います。
友人が一緒にバカやったり気遣ってくれたりするエピソードにホッとします。
映画の最後では、両親と祖母を初めて自分の舞台に招待して、なんとなく家族の間の暖かい空気が復活したような感じになっていました。
みんな、必死だった時期が終わって大人になったね、良かったね、とか思いながら見てました。
上から目線な感想で申し訳ありません。
なんかもう、凡人とは色々と違っていた・・・!
ネタバレ終了:神経を張り巡らせる話
踊っている時の、体中の神経が研ぎ澄まされているかんじが、ほんまスゴイんです。(さっきから「すごい」しか言ってない気が)
自分もむかし地元の民謡を習って、「指はそろえる! 足は爪先から!」とか指導を受けたこともありました。
今でも意識すれば指先までピシッとできるので(たぶん)、体じゅうに神経通す感覚は多少分かるつもりですが。
そんなのとは次元が違う、違い過ぎる。
爪先とか腕とか腹とか背中とか、太もも辺りの筋肉とか、こんなに制御できるものかと、感嘆するしかありません。
美しいです。
関連動画
有名な動画があるので貼らせていただきます。
グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲「Take Me To Church」のMV(ミュージックビデオ)です。
英国ロイヤル・バレエ団を電撃退団したポルーニンが、その後再び注目を集めたときの作品だそうで、当記事公開時点で2,122万再生を数えています。
Sergei Polunin “Take Me to Church”
これだけでも眼福だし、もっと見たい・どうやってこんな子が育ったの等と思ったら、ぜひ劇場へ!
幼少期からの踊りっぷりと、周囲の人たちの支えを、現在まで順を追って堪能できます。
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